ベトナムの公用語はベトナム語です。でもベトナム語はベトナムでしか使われておらず、外資系の企業や観光客を相手にする商売では英語が必須になってきます。
外資系の企業がどんどん進出し、観光産業も盛り上がっているベトナムにおいて、ベトナム人の英語能力はどのくらいのものなのでしょうか。
一部情報によれば、日本人よりもベトナム人の方が英語ができるという噂もあります。果たして実態がどうなのか、各項目ごとに確認していきましょう。
ベトナムで英語はどれくらい通じる?
ベトナムは観光産業が盛んです。外国人が多く訪れる観光地では簡単な英語が通じ、英語のメニューや説明書きなどもあります。
またベトナムの今の若い人たちは、英語を学ぶ意欲がとても高く、学校で英語を相当しっかり学んでいたり、学校とは別に英語の学校に通っていたりします。
ということで観光地で商売をしている人たちや、ベトナムの若い人は英語が通じる場合が多いようです。ではベトナム全体としてはどうなのでしょうか。
英語能力指数ランキングは世界で52位
EFエデュケーションのリサーチによれば、ベトナムの英語能力指数ランキングは世界で52位です。ちなみに日本は53位でベトナムの一つ下に位置しています。
52位と53位では、残念ながら両国ともに「低い」というレベルになっています。世界基準でみると英語能力は高くないようですが、日本人にとってはなんだか親近感がわきますね!
観光地では通じることが多い
観光地でのレストランや売店、土産物屋では外国人を相手に商売をしているので、最低限必要な英語は通じることがほとんどです。
このような場所では若い人に限らず、お年寄りまでもが接客に必要なよく使う英語のフレーズを丸覚えして使っているようです。
観光地では説明のプレートはベトナム語だけでなく英語が併記してあったり、レストランでも英語のメニューがあるところも多くあります。
ローカルのベトナム人にはほぼ通じない
観光地に近い場所だとしても、観光客を相手とせずに普通に暮らしているローカルのベトナム人、とくに高齢の人たちには英語はほぼ通じません。
またベトナムローカルの人たちしか行かないような食堂や、売店のベトナム人もほとんど英語が通じません。
一番困るのはタクシーやGRABのような配車システムの運転手たちですい。彼らは外国人に接する機会は多いのですが普通のローカルの人たちなので、ほぼ英語が通じないのです。
このように外国人を相手にする機会がある人たちでも、まだまだベトナム語しか通じない世界がいくらでもあります。このため、ベトナムで生きていくためには、英語だけでは難しいようです。日常生活に必要な簡単なベトナム語は覚える必要があります。
しかし最近の若い人たち、とくに大学を出ているような人たちは英語が上手な人が多くいます。また日本人に比べて若者たちが英語を学ぶ意欲とモチベーションが高く、必死で勉強している姿がよく見られます。
ベトナム人に英語が通じるかどうか聞くときの、お役立ちフレーズ
例えば観光人向けのお店などであれば、英語ができる人が一人は常駐していることがよくあります。覚えたてのベトナム語で必死に伝えるよりも、英語ができるベトナム人と話した方が、話が早く、正確に伝わる可能性が高いことも多いでしょう。
英語で話しをしたい時に使えるフレーズをいくつか紹介します。ちなみにAnh(アイン)はイギリスのことを示します。 Tiếng(ティエン)が語なので、 Tiếng Anh(ティエン アイン)は英語、 Tiếng Việt(ティエン ヴィエッ)はベトナム語になります。
■ Tôi không nói tiếng Việt.(トイ コン ノイ ティエン ヴィエッ)/ ベトナム語を話せません
■ Bạn có nói tiếng anh không?(バン コー ノイ ティエン アイン コン?)/ 英語を話せますか?
■ Có người biết nói tiếng Anh không?(コー グゥオイ ビエッ ノイ ティエン アイン コン?) / 英語を話せる人はいますか?
■ Có ai hiểu được tiếng Anh không?(コー アイ ヒェウ デュオック ティエン アイン コン?)/ 誰か英語がわかる人がいませんか?
■ tiếng Anh(ティエン アイン) / 英語
ベトナム語なまりが強い?ベトナム人の英語の特徴とは
英語はベトナム語と文法が似ているため、言葉を英語からベトナム語に置き替えるだけである程度は話せます。ベトナム人で英語ができる人は、留学経験などがなくてもかなりスラスラと話せます。
母国語と英語の文法が似ているということは、英語を学ぶ上でかなりアドバンテージがあるということなのでしょう。
しかし多くのベトナム人が話す英語は、慣れないとなかなか聞き取りができません。流暢に話しているのですが、最初は何語を話しているのか分からない時もあるほどです。
日本人も別の国の人たちからしてみれば、英語を話すときに独特のアクセントがあると言われますが、ベトナム人のそれもなかなか個性が強いものです。
ベトナム人独特の英語の特徴とは、どのようなものになるのでしょうか。
ベトナム語のアクセントが強い
ベトナム人は英語をベトナム語のように読みます。最初は彼らがベトナム語を話しているのかと思っていたら実は英語だった、なんていということがよくあります。
これはどんな国の人たちにも当てはまることかもしれません。たとえばフランス人はフランス語を話すように英語を話しますし、日本人も日本語のように英語を話してしまいますよね。
ベトナム人も同様なのですが、ベトナム語のアクセントがそもそも独特なので、それを英語にそのまま流用すると、ベトナム語にしか思えないような英語のアクセントができあがるのです。
英語をベトナム語のように読んでいる
ベトナム語は英語と同じアルファベットを使っています。ただし読み方は英語と必ずしも同じではありません。
例えば「Tra」というつづりはベトナム語では「チャ」と読みます。また、「Ra」は北部では「ザ」、南部では「ラ」、同様に「D」も「ザ」や「ラ」などと、ベトナム語オリジナルの読み方となっています。
そしてこれを英語を読むときにもそのまま活用してしまいます。例えば、「チャボー」と言われて何のことか分からずにいると、実は「Traouble(トラブル)」と言っていた、というような感じです。
語尾を読まない傾向がある
こちらも英語をベトナム語読みしている例のひとつです。英語とベトナム語の違いはたくさんありますが、一番大きな違いは「語尾を読むか読まないか」にあります。
英語は語尾がとても大切です。例えば「That」「Likes」「books」などの「t」「s」をきちんと発音します。しかしベトナム語はそもそも語尾の子音を発音しません。「một(数字の 1)」は「モッ」、「học(勉強する)」は「ホッ」、「trường(学校)」は「チュオン」となるように、語尾の子音は発音しないのです。
そのため英語を話すときにも肝心の語尾が聞こえずに、なんの言葉を言っているのか瞬時には分からないことがあります。
例えば「She like books(シー ライクス ブックス)」という文章をベトナム語読みすると「シー ライ ブッ」になってしまうので、英語の発音に聞きなれている日本人にとって最初は「?」となってしまいます。
慣れないと全く聞き取れない
このように、ベトナム人はベトナム語のルールを英語に適用して話すので、ネイティブの人たちには理解できても、日本人には彼らの英語が全く聞き取れないという事態に陥ることがあります。
しかし上記のように、ベトナム人の英語はベトナム語のルールを活用しているだけなので、傾向と対策があります。ベトナム語を理解して、ベトナム人の英語の話し方のルールを理解すれば、段々と聞き取れるようになるので、安心してください。
ベトナムには英語教室がいっぱい!
ベトナムの都市部には至る所に英語教室があります。子供用から大人用まで、大きなビルがあればそこに1つは入っているのではないかというほど、英語教室があふれかえっています。
なぜそんなに英語教室が多いのでしょうか。その理由を探っていきましょう。
ベトナム人が英語を学ぶのに必死な理由
ベトナム人が英語を学ぶのに必死な理由は、ベトナム人で英語が話せるとそれが仕事に直結するからです。
ベトナムでは平均給与がまだまだ低く、多くの人は普通に働いていても生活するのにいっぱいいっぱいです。
ベトナムは観光産業に力を入れていたり、外資の企業が多く進出していたりと英語が使えれば、より条件のよい仕事への選択肢が広がります。また英語ができれば、海外へ行って仕事を得るチャンスもあるかもしれません。
ベトナムの国全体としてもベトナム人の英語力の強化を推進しており、2011年から小学校3年生から英語が必須科目となりました。
英語ができると給料が2倍?
英語ができると、会社によっては給料が2倍になることもあるそうです。
その理由の一つは英語ができれば外資系の企業に就職することも夢ではないからです。外資系の会社はベトナム国内企業に比べ、給与を含めた条件面が良いと言われています。
家族を養うために少しでも良い条件の仕事にありつきたいと常にハングリー精神旺盛なベトナム人にとって、国内企業よりも条件のよい外資系の会社は憧れの職場となっています。
ベトナム人の子供たちは英語が話せる率が高い?
これまで見てきたように、ベトナムの子供たちに対する英語教育に関して、国および親たちが懸命に力を注いでいます。
富裕層ではない人たちですら必死で働いて子供を英語教室へ入れ、子供に何とかして英語力を身に着けさせようとしています。
ベトナム人の子供たちが英語が話せる率が高いのは、下記のようなことが理由であると言えるでしょう。
英語教育は小学校から
2011年からは英語教育が小学校3年生から始まることとなりました。ちなみに日本は2020年から始まりますが、すでにベトナムより10年近くの遅れをとっています。
ベトナム語の文法は英語に似ているので、習得するのが楽というアドバンテージがすでにあります。またベトナム人は細かい発音の違いを耳で音を聞き分ける能力が高いため、子供のうちから英語教育を始めれば、今後英語を話せる人が急速に増えていくことでしょう。
子供用の英語教室が至る所に
あらゆる商業施設、あらゆるビルに子供用の英語教室が入っています。イギリスのブリティッシュカウンシルをはじめ、大手チェーンの英語教室、小規模の英語教室まで大小様々な英語を学ぶ機関がそろっており、ベトナム人の子供たちが大勢通っています。
富裕層の子は大体インターナショナルスクールに通う
ベトナム人の富裕層は、日本の富裕層と比較にならないほどの、想像を絶するお金持ちです。ベトナムの物価に換算するととんでもない金額になるはずのインターナショナルスクールに、富裕層の多くは彼らの子供を通わせています。
実はベトナムにはインターナショナルスクールが多数あることも特徴です。各国の大使館や国際機関に勤める両親の子供たちが通うような、国際色豊かなインターナショナルスクールもありますが、ほぼベトナム人の子供たちしかいない、ベトナム人向けのインターナショナルスクールもあります。
ベトナム人向けのインタースクールは大規模なインタースクールよりも料金がリーズナブルで、富裕層でなくてもなんとかギリギリ通わせることができるようです。英語だけでなく、ベトナム語の教育もしっかりあるため、ベトナム人の子供にとってはこちらの選択肢もよいかもしれません。
まとめ
ベトナム人の現状の英語能力は、日本人のレベルと変わりがありません。しかし近年のベトナムの若者や子供たちの英語を学ぶ意欲の高さを考えると、近い将来に日本のレベルをはるかにしのぐことにもなりかねません。
ベトナム人にとって英語ができるということは、彼らの仕事や給与に直接跳ね返ってくるので、本当に必死なのです。
ベトナム人と日本人の英語力が近しいことから、たとえベトナム語ができなくてもお互い第二外国語である英語でコミュニケーションを取ることができそうです。
ただしベトナム人の話す英語には強いクセや独特の読み方があるため、慣れるまでは少し大変です。
経済発展の真っただ中で、急速な変化を遂げているベトナム。数年後には全く雰囲気の異なる国になっているかもしれません。これからも目が離せないベトナムに、引き続き注目していきましょう。
ベトナム単語短期習得プログラム
脳科学に基づいたイラストやリズムをつかったビデオで、計2,000以上の単語を短期で無理なく覚えることのできるプログラムです。
定番の単語から、あったらいいな!というベトナム語単語特集までぞくぞく新しいビデオ制作中です。
まずは「野菜」と「よく使う形容詞」の2つを無料公開中ですので、ぜひ御覧ください。